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2007年3月19日 (月)

焼鈍炉

 ”ヤスリが出来るまで”のところで紹介されていますが、ヤスリの目立て加工をする時に通常の材質の硬さではタガネがもたない為、材質を軟らかくする工程があります。その工程を焼鈍といいますが、業界では一般的に”なまし”といっています。この時、火の温度が高すぎると脱炭(業界では”あま”と言っています)が発生し、逆に温度が低いと余り軟らかくならず、後の目立てで苦労します。以前はすべて重油炉で行っていたのですが、この温度管理が非常に難しい。2.0mx1.5mx1.5mの小さい炉なんですが、この中に日によって色々な種類の物をロ-テ-ションで焼鈍していくため結構難しい。温度計で管理しているのですが、重油で行うため火の上げ具合下げ具合の調節が難しい。最高800度近い温度の中で、一番微妙な時間帯の温度が5度以上狂うと後の工程の効率に手間がかかる。簡単そうで誰にでもすぐに出来ない非常に大切な第一歩なんです。昔の人は炉内の火の色だけで温度が分かる。温度計はあくまで確認の為。今の40歳台以下の世代の人にはなかなか難しい。将来のことを考えると、どうしても電気炉に変更しないといけない状況になってきたのです。今の電気炉は、ヤスリの種類によってそれぞれ温度管理できるもの。よく出る商品のものは、種類ごとに指定されたボタンを押すだけ。便利といえば便利なんですが、何か職人技が無くなるようで少し寂しいような気がするときがあります。技術を次の世代に伝えていく時、伝える側・受け継ぐ側にも情熱・理想・夢が無いと難しいということを痛感している今日この頃です。

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